前の記事で新耐震基準について説明しましたが、じゃあ「旧耐震基準」のマンションは絶対買ったらダメ?というとそうでもありません。
札幌市の災害リスク
札幌市は、日本の中では極めて災害リスクの低い街と見られています。
地震に関して、札幌は過去30年間における震度3以上の地震は約10回程度(東京で約180回)、震度5弱以上の地震については、詳細な記録が確認できるようになってから(1920年代頃)からは一度もありません。
そして今後30年間で震度6以上の地震が発生する可能性は1%未満と言われ(3%で1000年に一度発生する位の確率です)、これは関東・東海・中部あたりよりはるかに低い数字となっています。
また沿岸部から札幌市街までの距離もあり、津波の影響も受けにくいです。
ですから、災害リスクという点では耐震基準は問題ないと言えるでしょう。
旧耐震基準は直接賃貸には影響しない
投資としてマンションを買う場合、実際に住む居住者(賃借人)はどう思っているのでしょうか?
あくまで私が接客した範囲でのことですが、部屋を借りる人で耐震基準を気にする人はほとんどいません。
借りる側からすると、気にするのは自分の持ち物だけで、建物については何ら責任がないので当然と言えば当然かもしれません。
(実際に地震保険については任意でしたが、加入する方は入居者の5%もいなかったと思います)
旧耐震基準の物件を購入する時に気を付けること
「札幌は災害リスクが低い」「賃借人は耐震基準など気にしない」と言いましたが、もちろん何でも買っていいということにはなりません。旧耐震基準の物件を買う場合、どのようなことに気を付けるべきでしょうか。
【現金で取引のできる範囲にする】
旧耐震物件の物件で最もネックになるのが「融資(ローン)の審査」です。金融機関によっては新耐震と旧耐震には特に違いはないとしている会社もありますが、一つの判断基準にしている会社もあります。
自分が買う時は「現金で買うから関係ない」「ローンが通らなければ別に買えなくてよい」で済みますが、問題は「手放す時(売る時)」です。
例えば1,000万円で旧耐震の物件を現金で購入して、数年経過後に何かしらの事情があって売却することになったとします。
買い手が見つかり、よかったと喜んでいたのもつかの間、実はその人がローンでの購入を考えていて、審査を申し込んだけど通らなくて結局売れなかった・・・ということも十分考えられます。
ですから次に買う人のことを考えて、現金で取引ができる価格帯(500万円までくらい)にしておくのが無難だと思います。
【他の部分に気を付ける】
旧耐震基準の物件は、当たり前のことですが「築年数が古い」です。
地震に関しては問題が無くても、建物の他の部分(給排水管やガス管、外壁等)にも相応の問題が出ている可能性があります。
耐震基準はあくまでマンションを購入する際の判断材料の一つでしかありません。他の部分にも目を向けて、事前に確認することが大事です。