賃貸契約書を見ると、記入・押印欄には「貸主」「借主」「保証人」の欄が必ずあります。賃貸契約書上ではただの保証人ではなく「連帯保証人」であることがほとんどですが、保証人と連帯保証人は何が違うのでしょうか。
「保証人」とは
通常の保証人は「人的担保」と呼ばれ、債務者(賃借人)が債務を履行できない場合は、その履行を債務者(賃借人)に代わって行うことを保証する人のことです。そして以下の権利や利益を主張できます。
- 催告の抗弁権
債権者(大家)に対して、まずは債務者(賃借人)に対して十分な請求を行うように求めることができる権利です。 - 検索の抗弁権
債権者(大家)に対して債務者(賃借人)に財産がある場合は、まずそちらから請求するように求められる権利です。 - 分別の利益
保証人が複数いる場合、保証人一人当たりの保証額が全保証人の数で割った額が上限になるというものです。例えば100万円の借金に4人の保証にがいれば1人あたりの上限保証額は25万円となります。
つまり保証人は「債務者(賃借人)がどうしても返済できない時にだけ、代わりに返済する」ということです。
「連帯保証人」は責任がより重い
連帯保証人は保証人が主張できる3つの権利又は利益(「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」)を主張できません。
つまり債務者(賃借人)に十分な家賃支払能力があっても、先に連帯保証人へ請求することもできるということです。ですからほぼ「債務者(賃借人)=連帯保証人」ですよね。
「先に債務者(賃借人)の給与を差し押さしてくれ!」といっても通用しないのが「連帯保証人」なのです。
賃貸借契約では「連帯保証人」が基本
賃貸借契約においては、国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」という契約書のひな型にあるように、ほとんどの場合は「連帯保証人」となっています。
ですから賃借人が家賃を滞納した場合や、滞納癖がついて毎月遅れがちな場合等は、早めに連帯保証人へ連絡することも一つの手です。